大先輩に倣って好きなことをマイペースで

 3月、若者たちが旅立っていく季節になりました。幼いころから付き合ってきたおおきな木の野外塾生たちの中にも、4月から高校生、大学生となって新しい生活を始める子たちがたくさんいます。旅立っていく若者たちにはエールを送りたいと思いますが、最近、天国へと旅立っていく同世代の知人も増えてきました。仕方がないことですが淋しい話です。

 自分も何歳まで生きられるのか分かりませんが、そんなことを考えていたら毎日楽しくありませんから、これからは自分が好きなことだけを体力の続く限りやって生きていけたらいいなあ、と思っています。こんなことを言うと、僕を知る人たちから「元々好きなことしかやってないではないか」と突っ込まれそうですが、うん、返す言葉がありません。趣味はたくさんあります。ギター、旅行、登山、キャンプ、昆虫採集、自然観察、スキー、サッカー、野球観戦、釣り、酒、…。そして最近はコンサートにもいろいろ足を運んでいます。

 直近では、岐阜市民会館で行われた、財津和夫と姫野達也のコンサート。若い方はご存知ないかもしれませんが、「チューリップ」というバンドのお二人です。財津さんは77歳、姫野さんは73歳。お客さんも当然いいお歳の方ばかりですが、みんな若返るんですよね。ヒット曲をたくさん世に送り出してきたバンドですから、10代、20代のころからおっかけてきた濃厚な往年ファンも大勢いました。僕はそれほどのファンではないのですが、ほぼ知っている歌ばかりなので、ついつい口ずさんでしまいます。最後はみんな総立ちで、最大のヒット曲『心の旅』の大合唱になりました。

 そしてそのちょっと前、四日市の児童書専門店メーリーゴーランドで行われた「ありがとう谷川俊太郎の会」に参加してきましたが、第2部は小室等さんや谷川賢作さん(俊太郎さんのご長男)らのコンサートでした。小室等さんのことも若い方はご存知ないでしょうね。僕は中学時代にアメリカのフォークグループPPM(ピーター、ポール&マリー)の歌に出会い、こんなギターが弾きたいと思っていたところに、小室さんがその代表曲を譜面にした本を作っておられて、そのおかげでギターが少し弾けるようになったのです。当時、小室さんは「六文銭」というバンドをやっておられましたが、僕は伝説の「中津川フォークジャンボリー」でも見たことがあります。そんな小室さんは81歳。共演者であるお嬢さんのこむろゆいさんや谷川さんたちに支えられながらのマイペースで暖かいコンサートで、往年ファンのワタクシも楽しませてもらいました。

 そしてもう一つ。岐阜市内にある定員20名ほどの小さなライブハウスで行われた「アリ×忠・喜寿喜寿珍道中」というコンサート。ブルースハープの名手松田幸一さんとギターの名手吉川忠英さんのライブです。お二人とも日本のポップス界で活躍されてきた雲の上のような存在のミュージシャンですが、至近距離で一流の演奏を見ることができて贅沢でした。このお二人も77歳。

 2月に行われたこれらのコンサートでは大先輩のみなさん本当にお元気で、マイペースで好き勝手にやっている感もあり、ああ、これでいいんだとほっとしました。僕は3月9日に72歳になりますが、彼らに比べたらまだまだこれからです。子どもたちと楽しむ絵本ライブを続けていくのはもちろんのこと、大人向けの弾き語りライブも一つの趣味として楽しんでいきたいと思いますので、お気が向きましたらお付き合いください。

おおきな木 杉山三四郎