あだ名がクラスの親密度(?)を上げていた

 紅葉の便りが気になる季節となってきましたが、先日、中学の同級会が8年ぶりに開かれることになり、真っ昼間に仕事を中抜けして行って参りました。

 岐阜大学教育学部附属中学校の1968年卒の4クラス合同クラス会です。各組44名の4クラスなので176名いたわけですが、そのうちなんと約50名が集まりました。すでに鬼籍に入った人も相当数いたり、只今病気療養中で参加できませんが…、というメッセージも届いていたりで、高齢者の集まりになってきました。

 今までにも何度かこの会に参加してますが、いつも思うのが、みんな同じ歳なのに老け具合がなんでこんなに違うのかということです。以前とほとんど変わりなくシャキッとしていて髪もフサフサな人もいれば、「正しく」ジジイになっている人もいる。女性も未だ色気を失っていない方もいれば、「正しい」方もいる。何の違いなんでしょうね。それはともかく、会が始まると、誰もが60年近く前の自分に戻って話が弾みます。

 その時、一人の同級生が、1組のみんなにと言ってUSBメモリを配ってくれました。メモリに入っていたのは、3年1組の新聞係が発行していた学級新聞のコピーです。仕事場に戻ってからパソコンで開いてみました。ガリ版刷りですから読みづらい箇所もありますが、こんなものをよくぞ保存していてくれた、と驚きです。

 この新聞の編集委員は4人いて僕もその一人でした。新聞の名前は『人間革命』。言っておきますが、某宗教団体教祖の著書とは何の関係もありません。大体が当時そんなものの存在は知りませんでしたからね。ただ、なんかかっこいいからつけたんでしょう。

 3年生の4月14日発行の第1号を読んでみると、まず新任の学級委員や係の意気込みが書かれていて、まともに答えている奴もいれば、適当にジョークで交わしている奴もいます。新任の先生たちへのインタビューもあるんですが、年齢、身長・体重、子どもの名前、結婚記念日はいつとか新婚旅行はどこに行ったかとか、プライバシーの侵害も甚だしい。「カバの子」という見出しの記事はいったい何だろうかと思ったら、カバというあだ名の先生に赤ちゃんが生まれた、というインタビュー記事です。これもプライバシーだらけ。

 第2号以降を見ていくと、連載がいくつか始まります。中でも面白いのが、クラスの男女一人ずつにインタビューをする「個人訪問」。当時の同級生たちの様子が蘇ってきます。自分の回もありました。名前は「杉山三助」となっています。幸せだなーと思う時は?の質問に、「カッパの顔を見る」と書いてありますが、カッパというのは可愛かったクラスの女の子のこと。この頃、クラスはみんなあだ名で呼び合ってました。ハゲとかエロとかオカチメンコとか、今の時代だったらアウトだろうというのもあります。でも、あだ名で嫌な思いをしている子がいたとは思えません。そのカッパも、未来の希望は?の質問に、「カッパ天国の漬物を作る」、学校の楽しみは?では、「学校の水を皿に吸い取ること」と書いてます。ユーモアがありますよね。

 おおらかな時代でした。あだ名がいじめに繋がったなんてこともなかったし、むしろクラスの親密度が高かった要因の一つになっていたんじゃないでしょうか。

 この『人間革命』はなんと第40号まで発行されていますが、それも親密度があったからこそ続いていたんでしょうね。先日の同級会も、あだ名で呼び合って旧交を温めていたのは言うまでもありません。

おおきな木 杉山三四郎