1年が過ぎるのは本当に早いものですが、さて2022年(令和4年)はどんな年だったでしょうか。つい先日まではワールドカップで「ブラボー!」と盛り上がっていましたが、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は世界を震撼させました。もともと何をしでかすか分からない独裁者プーチンでしたが、ここまで極悪非道な指導者だとは誰が予想できたでしょうか。
朝のワールドニュースでは世界のメディアが毎日ウクライナ情勢を伝えています。軍事施設にとどまらず、住宅、病院、学校、商業施設などの民間施設を狙った爆撃によって多くの罪なき住民が犠牲になり、原発を含む発電所などへの攻撃も始まってからは、飢えと寒さに苦しむウクライナの人たちの様子も伝えられています。
このウクライナ危機は世界のエネルギー問題にまで発展し、日本でも電気料金の値上げなどに影響が現れています。12月23日の新聞各紙は、「GX基本方針案」というのが政府によってまとめられたということを報じています。脱炭素社会を実現するために原発の再稼働や運転期間の延長、そして新規建設にも取り組むと言っています。あの12年前の原発事故を忘れてしまったのでしょうか。信じられません。安全神話が崩れた当時、原発比率を徐々に減らし、将来ゼロを目指すという議論がされていたと思うんですが…。当時は民主党政権でしたが、自民党政権に替わってから原発政策は逆戻り。原発を止めるわけにはいかない抜き差しならぬ事情があるんでしょうね、きっと。
脱炭素というのであれば、他にも再生可能なエネルギーはあるわけで、その検討もなくこうした決定に至ったのは、初めから原発再稼働ありきの議論だったんじゃないかとも疑われます。それに、今電力が不足しているというのであれば、節電をする方法はいくらでもあります。まず、エアコンの設定温度を見直しませんか。先日出席した会議では大きな会議室が暑くて、ジャケットを2枚も脱ぎました。名古屋のアップルストアに行ったら、ここも暑い。スタッフはみんなTシャツですよ。銀行も暑いし市役所も暑い。夏はどこも寒いし…。SDGs無視? これ、止めましょうよ。
ウクライナ危機に乗じて、もう一つとんでもない閣議決定がありました。敵基地攻撃能力を保有するするために防衛費を1.5倍に引き上げる。そして、その費用は増税で賄うというものです。「安保環境が厳しくなっている」からという理由ですが、中国による台湾侵攻の気配や北朝鮮のミサイル実験などのことを指しているんでしょうね。しかし、日本がさらに武装するということになればそれらの周辺国は黙ってはいません。日本は戦さの準備を始めたと捉えますから、もし仮にそれらの国々が日本を狙っているとしたら、先制攻撃の大義名分を与えることにもなりかねません。
世論も、ウクライナ危機があるものだから、増税には反対しても、防衛力増強には賛成の声が多くなっています。それが怖いですね。賛成してる人は、自分や身内の人が戦場に行って闘うことになるかもしれないんだという想像力は持っているのでしょうか。いったん戦争になったら、あの太平洋戦争の悲劇の繰り返しです。安倍政権以降、安全保障の危機を煽り、集団的自衛権の行使容認を閣議決定するなど周辺国を挑発するようなことをしてきました。いったいいつから日本は武装国家になったんでしょうね。そして、際限のない武装論につながる今回の決定は、本当に恐ろしさを感じます。
おおきな木 杉山三四郎