時が過ぎるのは本当に早いもので、今年も残すところあと1か月。クリスマスや新年を迎える時期になってしまいました。先月のこの「つうしん」で、GoToトラベルで登山をしたという話を書きましたが、それ以降コロナ感染者数は記録を更新し続けており、さて、いったいどんな年越しを迎えられるのでしょうか。
それはさておき、クリスマスという行事はそもそも一体何なんでしょう。『クリスマス』(バーバラ・クーニー作、安藤紀子訳/ロクリン社)という絵本を紐解いてみましょう。キリスト教の国々においては、イエスの誕生を祝う日、それがクリスマスです。祝い方は国によって様々ですが、元となっているのは、「新約聖書」に描かれたイエス誕生の物語ですね。”Twelve Days of Christmas”(クリスマスの12日間)という歌がありますが、イエスの誕生を祝う行事は、11月の末ごろから始まり、クリスマスから12日目の1月6日まで続くんだそうです。「東方の三博士」が空に大きな星が輝くのを見て、ベツレヘムの馬小屋にたどり着くまで12日間を費やしたことが元になっているようです。
また、クリスマスに繋がる行事は、イエスが生まれるずっと前からあったということで、冬至の祭りがそのひとつでした。太陽の復活を祝う行事は古代から行われていたんですね。このあたりのこともこの絵本に書かれていますので、ぜひお読みいただければと思います。
では、クリスマスにはなぜツリーを飾るんでしょうか。『クリスマスツリーをかざろうよ』(トミー・デ・パオラ作、福本友美子訳/光村教育図書)という絵本を見てみましょう。そのルーツはドイツなんだそうで、中世の頃からあったその風習が18世紀にアメリカにも渡り、ツリーも巨大化していったんだそうです。クリスマスツリーにロウソクを灯すわけ(今ではLEDライトですけどね)や、ツリーのてっぺんに飾るお星様の意味も分かります。
さて、では、クリスマスは日本にはいつごろ伝わってきたんでしょう。少なくとも僕が幼かったころ(60年ほど前になります)にはすでにクリスマスツリーを飾る習慣もあったし、サンタクロースもいました。クリスマスの朝起きると、枕元にはちゃんとおもちゃが置いてありましたからね。一年で一番嬉しい朝でした。
宗教行事にはなっていない日本でクリスマスが定着したのは、サンタクロースの存在が大きいのではないかと思いますが、サンタクロースはいつごろ生まれたんでしょう。その起源は、4世紀に実在した聖ニコラウスという司教であるというのが定説ですが、現在日本で定着しているサンタクロース像は、アメリカから来たもので、1823年に新聞に掲載された一編の詩が元になっています。”The Night Before Christmas”、書いたのは、クレメント・クラーク・ムーア(1779〜1863)という神学校の先生です。8頭立てのトナカイがひくそりに乗って空を飛んできて、煙突から家に入って、靴下にプレゼントを入れていく小太りのおじいさん。名前はセント・ニコラス。子どもたちの夢を大きく広げてくれるこの詩を元にした絵本もたくさん出ていますので、ぜひお読みいただければと思います。
日本ではクリスマスにデコレーションケーキを食べるという習慣がありますね。これはお菓子メーカーの不二家が、「クリスマスにはケーキを」と売り込んだのが始まりとか。「バレンタインデーにチョコを」と同じ戦略ですが、こちらは大正時代の話のようですよ。
おおきな木 杉山三四郎